実際にインターネットを使って一般市民が法案作成を行ったニュージーランドの事例

東浩紀の「SNS直接民主制」でちょっと話題になった
朝まで生テレビの再放送を見ました。


コミュニケーションツールが発達したから
ある程度の規模までなら議員を介さずとも
市民が直接mixiなどを使って対話すれば政治的な意思決定ができるのでは
ということのようです。


東浩紀の話には具体的な例がなかったので
正直、面白そうだがピンとこないというところが大半の方の本音なのではないかと。


というわけで、警察のあり方を規定する法律の改正案を
全世界の人々に向けて応募したニュージーランドの事例を再掲。
http://slashdot.jp/it/07/09/27/0321208.shtml
リンク先にはそれほど詳しく書いていないのですが
個人的にいろいろフォローしてきたので、以下にそれを踏まえた概略を。


この改正は、長い間、放置され続けて新しい時代に合っていない状態だった
法律を市民の意見を大いに取り入れた形で改正しようという主旨のもので
1. 専門家やニュージーランドの市民に意見を求めて争点を取りまとめる
2. wikiを立ち上げ、それぞれの争点についてwiki上で自由に議論してもらう
3. 一定の期間、wiki上で議論してもらった内容をもとに法律の原案を取りまとめ国会で議論する
という手順で法律がまとめられたようです。


http://www.policeact.govt.nz/
にて、wikiで最終的にまとまった法案を見ることができます。
上の[Wiki Policing Act]のキーワードをクリックしてもらえれば
つたない訳付きで見ることができますよ。


で、感想なのですが
よっぽど酷い荒らしが湧かない限り、wikiで法案を作成するのは悪くない
んじゃないかと。


リアルタイムでwikiの議論を追っていたわけではないのですが
書き込む上でのガイドラインをきっちり決めた上で
必要最低限の管理体制さえ敷いていれば
結構、良識的な書き込みが得られるようです。


ただ、逆に言うとそれほど奇抜な書き込みもそんなに見受けられないかなあ、と。
唯一、面白いな、と思ったのが
Part 6のPrivate security forces、俗に言う私立警察を認めるかどうかという争点で
民間が警察を運営して、懸賞首制度のようなものを導入することを認めるべきか
といった議論がかわされていたみたいです。
結局、私立警察自体を認めないことになったので、そこは残念。


あと、議論を始める前に争点を明確にしておくことも
重要でしょうね。全員が全員好き勝手なテーマで書き込んでしまうと
wikiが非常にまとまりのないものになってしまうでしょうから。


ちなみに、朝生ではコミュニケーションできる規模が問題だ
という話でしたが、ニュージーランドの事例は
世界中の人を対象に警察のあり方という
国家的なテーマの議論を成立させたわけですから
規模というよりもどういう分野かの方が重要ですよね、多分。
知識や情報が多く問われる分野だと
wikiみたいなツールは凄く有用だと思いますが
利害関係が主な争点となる分野だと
wikiではまとまらないでしょうねえ。そこが難しい問題かと。