猿のM&M選択実験で前提となっていること

http://d.hatena.ne.jp/opechuman/20080412#1207987466
で取り上げた、猿に違う色のM&Mから1つ選ばせる実験で
基本的な確率のミスをしていました、というネタなのですが
今日、なんとなく元記事のコメントを読み直していたところ
http://slashdot.jp/science/comments.pl?sid=397367&threshold=1&commentsort=3&mode=thread&cid=1328654
"初期状態で「猿の色の好みは均等とする」のが前提になって"いれば
前提の確からしさはともかくとして、確率のミスではない、とはいえるのではないか。
という書き込みが。


まあ、そんな前提自体はまずないと思うのですが、これを読んで
猿の色の好みに推移性が成り立たない
という前提があればいいのか、ということに思い至った次第。


推移性というのは
"青より赤が好き"、"緑より青が好き"という2つの選好があれば
必然的に"緑より赤が好き"という選好も成り立つ、というものです。
数式で書けば
A > B and B > C => A > C
ですね。


この推移性が成り立たないことなんてあるのか、と思う人もいるかと思いますが
例えば"カレーライスとハンバーグ?うーん、カレーライスの方が好きかな"
"ハンバーグとアイスクリーム?...ハンバーグだね"
という人が、"カレーライスとアイスクリームではどっちが好き?"と聞かれた時に
"アイスクリーム"と答える可能性が絶対にないとは言い切れませんよね。
この人にとってカレーライスとハンバーグ、アイスクリームはどれも好きなもので
選べといわれたから選んだものの、実は大差ないという場合
推移性が成りたたないのは不自然でないでしょう。


上の実験でも、例えば猿の色の好みが、均等とはいわずとも
ある程度大差のないものであれば、推移性が成り立たないと考えるのもありなんじゃないかと。
または、まったく異なる理由で推移性が成立しないこともあるかもしれません。


そう考えると、この問題は思ったより奥が深いなあ、と。
昨日エントリーを書いた時点ではちょっと考えが足りませんでした。
推移性がまったく成り立たない、確率論的に言い直すと
"赤と青のどちらが好きか"という選好関係と"青と緑のどちらが好きか"という関係とが独立
ということは流石にないんじゃないかなあ、という気はしますが
逆に推移性が完全に成り立つとも言い難いですよね、ある程度の相関があるというのが妥当かと。