英語教育以前に日本語教育について考えよう

<伊吹文科相>英語必修に慎重な考え示す
文部科学相が就任直後に意見を述べないといけないところまで、話が具体化しているんだ
と思い、記事をクリックしてみたところ
伊吹さん、慎重どころか大胆に反対論をぶちかましているじゃないですか!
「慎重」が「否定的」という意味で使われるのは
「検討します」を「お断りします」の意で使うのと同じ感覚でしょうか?
日本語って難しいですね。


で、伊吹大臣の発言ですが、小生にとっては、よくぞ言ってくれた!という意見ですね。
中学1年になったら最低限の素養や学力が身についていると言えるのか?
といった細かい突っ込みはありますが
日本語教育を優先させるべし、というのはその通りだと思います。
英語云々言う前に、日本語教育の改革を是非、真剣に検討して欲しいですね。


統語論・意味論の領域を排除している、今の日本語教育は極度に異常だと思います。
橋本文法の一部によって構成されている、現在の文法教育で教える文法は
品詞の名前とその簡単な特徴、あと活用形くらいでしょうか。
助詞、助動詞も教科書に書いてはあるものの、ろくに教えてないと思います。
簡単に言うと、形態論しか習ってないんですよ。isレベルの文法もろくに習ってないといえます。
橋本文法のうち、教えやすい部分のみを安易に取り出しただけの
日本語文法教育に改善の余地が多々あるのは明らかです。


覚えることを増やしてどうする!という意見もあるかと思いますが
言語の場合、むしろ、語彙、文法と意味との連関を体系的に教えないと
何を習っているのか主旨がわからず、逆に覚えられないですって。


多くの日本人が、日本語を理解する上で文法がものの役にも立たない
と思っている中で、英語の文法を、数学の公式でも教えるかのように徹底的に叩き込まれる。
このような現状では、日本語教育と英語教育のシナジー効果なんて期待できないでしょう。
「は」と「が」の違いや、うなぎ文などの日本語独自の現象を取り上げ
それらがなぜユニークといえるのか、ということを学生に理解してもらうために
英語のコピュラ文を同時期に勉強する、といったような形で
日本語教育と英語教育との連携をとる上で、文法は非常に役に立つと思いますね。


日本語の文法を考える (岩波新書 黄版 53)

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