テニエールの依存文法

言語学徒のページより
http://ling.exblog.jp/5038557#5038557_1

で、『日本語の格と文型』 小泉保 著 大修館書店
が紹介されていました。
テニエールの結合価理論を応用して、日本語統語論への新たなアプローチを
提示しているもののようです。


小生にとって、テニエールといえば依存文法の人です。
http://taweb.aichi-u.ac.jp/tmgross/Scripts/Weisheit.pdf
依存文法とは、二つの語句の関係を「依存」と「支配」の関係として捉え
その依存関係の組み合わせによって文構造を記述するものです。
自然言語処理では係り受け構造で記述されることが多い
日本語文にとって、依存文法は直感的に相性の良い理論のように見えます。
ただ、具体的に日本語に適用して体系化した研究を見たことがなかったので
上記の本は、ちょっと注目の一冊です。


これまでの自然言語処理研究では、欧米で主流のアプローチに従って行われたものが多く
日本語学の研究を生かした独自の発展、というものはあまり見られていません
(一説によると、フィルモアは時枝の詞と辞の理論に影響を受けたらしいですが)。
個人的には、依存文法の分野では、日本語に独自と思われる特徴を適用することで
新たな展開が期待できるのではないかと考えているので、この本の出版以降
日本語学、自然言語処理の分野にどのようなインパクトを与えるか、注視したいと思います。


小生自身も何か貢献できれば理想的ですが、それは神のみぞ知る、です。