いい加減、ネット上の情報を整理してみる

資料を羅列しただけで、ろくに読んでもいなかったグラミン銀行ですが
流石にこのままじゃいかんだろうということで、過去のエントリーで紹介したネット上の記事を読んでみます。

要約:
グラミン銀行が提供する住宅ローンの事例紹介。
バングラデシュでは女性の立場が弱く、相続においても極めて不利な立場にある。
それに対し、夫から土地を移譲してもらい、住宅ローンで自分の住居を持つことで
安定した住居を得られるとともに、それ自体が財産となる。
また、貸家・貸間というビジネスが経済的な安定に寄与する。

要約:
グラミン銀行の五人組制度は、特に目新しいものではなく
日本の各地方にも、「無尽」(講)という助け合い的な金融システムが昔からある。
無尽の内容は、グループを作り、定期的に幾ばくかの金を掛け、入り用の際に資金を融通するというもの。形式は様々だが、入札制が基本。

  • たった6ドルで人生が変わった

要約:
グラミン銀行の紹介ページ。基本的なことが書いてある。
以下、五人組について抜粋。
「借り手は5人ほどのグループを作る。 グループ内で返済計画について話し合い、他のメンバーの借金にも責任を持つ。 銀行各支店の担当者は定期的に各グループの住む地域をまわり集会を開き、そこで借り手は借金返済の計画を説明する。」

要約:
グラミン銀行の代表、ユヌス教授へのインタビュー。
腐敗した政治と比べれば、市場原理に基づくことで
はるかに合理的に民主主義を社会に導入することができる、という意見
(お金が投票権の代わりになる、という発想)。
ちなみにグラミン銀行組織の概要は以下(2000年当時?)
ヘッドオフィスHead office 1個
Zonal office 45個
Area office 122個
Branch office 1149個
センターCenters 67914個
グループGroups 446481個
借りての人々People 240万人

とりあえず、具体的な融資の段取りの部分を抜粋。
「グループ(五人組)ができたら7日間のトレーニングを行い、2人に対し12〜15ドル程度を貸し出す(それ以上を借りようとは思わないらしい)。はじめの融資が6週間以内にきちんと返済されてから、次の二人に融資。グループの代表は最後にお金を借りられる。
融資の返済は借り入れの翌週から始まり、毎週行われる。年金利は20%で返済は50週間。」
そして、五人組は銀行と借り手との間にある情報の非対称性の解消
(ここでの情報の非対称性=真面目にこつこつ働く人か、博打を打つ人か、銀行側が分からない状態)
に役立っているとの主張がなされる。
そして、五人組はモラルハザードの解消にも役立つとしている
(これはゲーム構造の変化(ジレンマ⇒保証)で説明している)。


そして、今回新たに見つけたものとして

要約:
気になった点を箇条書き。

  1. (五人組が)成立するのは、グラミンがさっきも言ったように、もっぱら農村部の女性をねらっているからだ。コミュニティがあるため、相互監視がよく効く。さらに、家庭があるので女性は逃げられない。だから村八分にならないためには必死で働くしかない。
  2. グラミンは無理矢理お金を貸す。
  3. これが事業用の融資だということ。いまの収入から返済するんじゃダメだ。融資によって収入を増やさなきゃいけない。
  4. 職業指導までグラミンはやる。
  5. 金利をとって厳しく取り立てるからこそ、みんな働いて生活水準があがるんだ、という明快な考え方。
  6. 一部の地域ではこのために、マイクロファイナンスが乱立していて、貸し付け合戦が起きている。すると当然、やばい人にも甘い条件で貸すようになって、すると本当に返せない人が増えて、取り立てが熾烈をきわめ……という事態もちらほら出てきているらしい。



大体、漠然としたグラミン銀行のイメージは掴めてきたと思います。
これ以上は、やはり英語のサイトに行かないと厳しいでしょうね。
マイクロクレジットについてその長所、短所が見えてくれば、グラミン銀行ネタにも一区切り付けられそうです。
というわけで、以降の情報源は以下。


Virtual Library on Microcredit
およびGoogle Scholarですね。
Google Scholarがあれば、本職の研究者に近い論文収集力を手に入れられます(お金を使うのを惜しまなければ肩を並べられます)。
便利な世の中になりましたよね。市井の研究者が急増したりしないのだろうか。