僕らが長谷川穂積をバッシングする理由

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/headlines/20100127-00000025-kyodo_sp-spo.html
何度となく階級を上げたいと宣言してきた長谷川穂積
今回も、階級を上げるかバンタム級に留まるかについて
当初は前向きだったにもかかわらず、次第にトーンダウン。
結局はバンタムに留まり、V11を目指すことが正式に決まりました。


残念。本当に残念としか言いようがない。
良識的なボクシングファンであれば
「残念は残念だけど、V11も素晴らしいことなんだから
留まる決断をした長谷川を素直に応援しようぜ」
と、大人の反応を見せるのでしょうが
ファンがそんな調子じゃ駄目ですって!


ファン、そして世間の熱が高まって
長谷川の背中を押す流れにならないと
本当にV14まで防衛を続ける流れが確定してしまいそうなので
「なぜ長谷川がバンタムに留まってはいけないのか」
をつらつらと書き連ねたいと思います。
ボクシングファンにとって目新しい情報はないのですが
やっぱり、世間の目に触れるところに晒すというのは大事なことだと思うので。


オスカー・デ・ラ・ホーヤ
マニー・パッキャオ
この両名は、ボクシング界に燦然と輝く、稀代のスーパースターですが
両者をスターダムに押し上げた最大の要因は

  • 階級に囚われず、強い相手、知名度のある相手と戦った

ことにあります。


現在のボクシング界のビッグマッチは
重量級を除いて、複数の階級で圧倒的な強さを示し
2階級、3階級制覇は当たり前といった強豪の存在が欠かせません。
デラホーヤもパッキャオもそれぞれ6階級、5階級制覇したボクサーです。
ただ、この両者の真に偉大な点は
対戦相手を選ばない、いや、むしろ強い相手を積極的に選んで戦った点にあります。
ボクシングのメジャータイトルは、日本で認可されているWBAWBCに加えIBFWBOの4つあり
そのどれかでチャンピオンになれば1階級制覇と認められます。
ですので、4つの階級のうち、一番戦いやすい相手を選べば
勝つ可能性が高くなるにもかかわらず、彼らはチャンピオンになるのを最優先事項とはせず
ファンの注目度の高い相手、多くの場合、強い相手をチョイスして
その勝負に打ち勝つことで、富と名誉を掴んでいったわけです。


そもそも、本来、重量級でないとなかなか世間の注目を浴びないボクシングにおいて
中量級以下で数十億円というファイトマネーが動くビッグマッチを実現できるようになったのは
デラホーヤのおかげです。もちろん6階級制覇という肩書きも
知名度を上げる大きな要因にはなりましたが
なによりも強豪との試合によって、まさにゴールデンボーイの名に
相応しい輝きを得ることができたのです。


そして、このデラホーヤが作り出した新時代の流れに見事乗っかって
デラホーヤ以上の人気とカリスマ性を得ようとしているのがマニー・パッキャオ
東南アジア出身の、見た目は冴えないおっさん顔であるパッキャオが
アメリカでここまで支持されたのも、階級を越えた強豪同士の戦いというものが
如何に人々を惹きつけるかということを物語っているでしょう。


ここまで来れば、もはやお分かりでしょうが
長谷川にバッシングを浴びせている人々の大半が抱いている想いは
「長谷川よ、日本のデラホーヤ、パッキャオになれ!」
ということです。長谷川に対する期待がバッシングにつながっているんですよ。


バンタム級には正直、長谷川自身も含め世界的に有名な選手はいません。
WBAではアンセルモ・モレノが防衛を重ねていますが
長谷川と同様にローカルヒーロー止まり。
IBFに無敗のチャンピオン、ヨニー・ペレスがおり
将来的にはスターダムにのし上がるかもしれませんが
今の長谷川にとってはまったく美味しい相手ではありませんし
しかも日本ではWBCIBFとの統一戦は規定上、することができません。
まだ、スーパーバンタム級のプーンサワットの方がましです。
同様にフェザー級クリス・ジョンも、物凄く知名度があるというわけではないですが
その強さは際立っており、プーンサワット、クリス・ジョンを立て続けに撃破すれば
長谷川の知名度はぐっと上がることでしょう。
その後に本当のスーパースターとの戦いを実現すればいいという寸法です。


長谷川自身がデラホーヤ・パッキャオのように強豪と戦って
スターダムにのし上がることを夢見ているのは明白。
おそらく、病気の母親や帝拳、日テレとの関係など
様々な人間関係が絡んで本音が言えない状況なんでしょう。
ボクシングファン、いやボクシング界全体で
もっと強い意志を持って長谷川をプッシュしないと
日本史上最高のボクサーがローカルスターのまま埋もれてしまいますよ!
私なんかよりボクシングを愛している方々、ぜひ立ち上がってください!


ちなみにここからは蛇足ですが
単純にネガティブな意味で長谷川をバッシングする要因も一応挙げておきます。

  • 連続防衛記録なんて大した価値がない(指名試合があると言ってもランキング1位が常にとんでもなく強いとは限らない)
  • サーシャ・バクティンとの試合を避けている(一時期、長谷川より強いと言われていた)
  • やるといってやらない(言わなきゃいいのに)

ま、大した問題ではないですね。
ちなみに私はサーシャのファンなので、長谷川との試合は見たいですが
それ以上に長谷川がとっととプーンサワットとクリス・ジョンをKOしてくれた方が100倍興奮するので
長谷川が返上、サーシャが王座決定戦でチャンピオンとなり
サーシャ・バクティン vs ヨニー・ペレスで統一戦という流れが理想(という妄想)ですね。