2007年メルボルンC勝ち馬エフィシェントが天皇賞春への招待を辞退

http://www.netkeiba.com/news/?pid=news_view&no=27036&category=A
記事中にこんな記載が。

 なお、JRAでは今年度から新たに前年のメルボルンC(豪G1)優勝馬天皇賞・春に招待することとしていたが、07年のメルボルンC勝馬エフィシェント Efficientの関係者より、辞退する旨の連絡があったことも併せて発表されている。

うーん、残念ですね。JRAの姿勢は評価したいのですが。


けがの可能性もあるかなと思い、エフィシェントについて調べてみたところ、3/15に
http://www.racingandsports.com.au/racing/raceDay.asp?resultDate=15/03/2008&display=analysis&meetingID=20420
の"Blamey Stakes"というマイルのレースで
メルボルンカップ以来の復帰戦を行い11着に敗れています。
オーストラリアでは距離適正を無視して調整目的のみでレースに出すことはざらですので
この"何故かマイルを使って大敗"という結果には驚きには値しません。
要するに普通にレースに出走できる何の支障もない状態だってことでしょうね。
となると、天皇賞はあえて出るのを避けたってことになりそうです。


理由はいくつか考えられそうです。
まずは、牝馬にしてオーストラリア史上最強馬の声名高い
マカイビーディーヴァが、天皇賞春でいいところなく7着に敗れたという過去。
メルボルンカップ天皇賞では同じ距離でも求められる能力が異なると思われ
エフィシェントも同様に大敗する可能性が高いと踏んだかもしれません。


もうひとつは、馬インフルエンザの影響。
日本ではまだ完全に馬インフルエンザが沈静化してませんからね。
このタイミングで日本に遠征してくるのはちょっとリスクが高いでしょう。


あとは、天皇賞春の賞金もそれほど高いとは言い難いかと。
ジャパンカップですら、なかなか有力馬が参戦してくれない昨今
陣営に勇断を促すには、2億、3億クラスの賞金が必要じゃないかと。
国際GIの数をもっと絞って、限られたレースに多大な賞金をつぎ込んで欲しいですね。


で、小生がなぜこの記事に注目したかというと
今後、日本のレースが国際的に注目されるための戦略として
これまでのようにクラシックディスタンスを重視してみたり
世界の潮流に合わせてマイル路線を充実してみたりするのではなく
オーストラリアとタッグを組んで、長距離レースにおける相互交流を
中途半端にではなく本格的に図ってみてはどうか、と思っているからです。


メルボルンカップは、長距離レースで、海外からの参戦馬も
決して欧米のクラシックディスタンスで活躍するような馬ではないものの
非常に盛り上がりを見せています。
レース日程の調整や、長距離レースの充実、そして検閲制度の簡略化を図り
お互いにもっと参戦が容易になるような環境づくりを徹底してほしいわけです。


検閲制度は、基本的に農林水産省に相当する国家機関が国家間レベルで決めるもののようです。
日本馬のオーストラリア遠征も、2002年に制度ができてからやっと解禁された模様。
http://www.jair.jrao.ne.jp/japan/others/2002/a2body02.html
このあたりの条件をもう少し融通の聞くものにしてほしいところ。
馬インフルの問題もあり、すぐには難しいでしょうが
両国で予防接種制度の連携や、検査項目の共有などを行っていけば
不可能ではないと思います。


個人的に是非やってもらいたいのは、天皇賞秋の長距離への回帰ですね。
府中であれば、淀に比べればメルボルンカップ勝ち馬が善戦する余地はありそうです。
もしくは思い切って、天皇賞を芝2400m、ジャパンカップを東京芝3200mにするとか。
凱旋門賞出走馬にとって、日本の芝2000mはちょっとスピード面で厳しいところ。
芝2400mであれば、賞金次第ではブリーダーズカップターフではなく
天皇賞秋とジャパンカップを両方使ってみるか、という陣営も出てくるんじゃないかと。
メルボルンカップ組にしても、ジャパンカップが3200mとなりかつ検疫の条件が緩くなれば
これほどおいしい条件のレースはないんじゃないですかね。
さらには、イギリスのセントレジャー勝ち馬が目標にしてくる可能性もあります。


なお、これらのローテーションを勝ち抜いてきた馬と
マイル路線の猛者とが芝2000mとなった有馬記念で戦う、なんていう流れだと
一層、盛り上がりそうだな、と妄想しています。ま、これは蛇足ですね。
なんにせよ、JRAには、もっと日豪協力を推進して
長距離戦線を盛り上げていってほしい、と願ってます。