馬インフルエンザ - 須田鷹雄のコラム

小生は、netkeibaのメールマガジンを購読しているのですが
そこに書かれている須田氏のコラムの内容が
なかなか素晴らしいものだったので、全文掲載しちゃいます。
メルマガの全文掲載は法的には問題かもしれませんが
馬インフルエンザに関しては、競馬界・競馬ファン全体で
情報を共有し、考えていかなければいけない問題だと思います。

競馬は一体誰のもの?ファンを置き去りにしたJRAの対応


 今週の中央競馬は開催されるということが決定した。
 前提条件として月、火の検査で陰性となった馬だけを出馬投票させ、投票後に再度検査を行って陽性と出た馬は投票そのものを無効とする、という話である。
  既に報じられている通り、馬インフルエンザは感染しても発症していなければ、運動能力上の問題はない(走らせた後に体力が落ちて発症する可能性はあるが、馬券上の影響は無いと考えうる)。その見地から言えば、確かに「不安に思わず馬券を買っていい競走」を実現することはできる。
 ただ一方で、ファン心理がどうかということも考える必要はある。
 この1週間、JRAグリーンチャンネルや公式サイトといった媒体を持ちながら、主体的な情報発信はしてこなかった。何かを発信して揚げ足を取られたり自らを縛ることを恐れてか、あるいはトップ側から強い力が働いてか、積極的にファンの理解を得ようという試みをしなかった。
 その間、報道には冷静なものもあったが、中には煽りまがいのものもあったわけで、ファンが大なり小なりそれにオルグされてしまっている面もある。JRAはリスクを恐れすぎて、インフルエンザ本体とは別次元のリスクを抱え込んでしまったとも言える。
 正当なものであれ理不尽なものであれファンの不興を買うことというのは客商売として得策ではないわけで、この点をJRA、特に理事長は見誤ったまま開催に突き進んでいる印象を受ける。しかも、今から積極的にファンの理解を得ようというムードもなく、皆何かを恐れて殻に閉じこもっている状況だ。
 また、馬券のうえで問題はなくても感染拡大のリスクは若干なりともあるわけで、これが悪いほうに転んだ場合は、責任論になるだろう。 しかも、情報発信および開催実施の判断・決定は誰によるものか、誰の責任なのかという点についてはJRAの記者会見で質問したものの、回答者の佐藤浩二常務理事から明確な回答はなかった。対策会議での検討という点ばかりを強調するのだが、意思決定と命令の系統さえはっきり示されないという状態は、組織として正常ではないと考える。
 結論として、今週馬券を買う方は不安に思わず買っていただいていいと思うが、JRAという組織の民主化については、ファンから引き続き大きな声をあげていただくべきかと考える。

JRAの官僚体質というか、閉鎖的な姿勢は
確かにファンの不安を煽る結果を招いたと思います。
不安を抑える意味で必要な情報は公開するべきですし
そのような判断を下す上でのプロセスも
信頼の置けるものにしていかなければなりません。
正直、現状では経営者の資質に期待するしかない気もしますが
システムでどうにかできる面もあると思いますので
マスコミ、ファンは真剣に考えていきたいものです。